名古屋旅行〜完結篇〜
時は遡ること、6年前。
歩行者天国の全国ツアーも終盤。
俺の運転する機材車は、東京の都市高速を走っていた。
助手席は、いつもオイスだ。
俺とオイスは都会に来る度、「ビルがデッケェェなー!?」
「すごーーっ!!!」
「でも、住みたくはないよなぁ〜!」
「広島が、ちょうどいいっすよー」
と、はしゃいでいた。
高層ビルの中を、走る。
たった、それだけの事に、なんだかカッコ良くなったような。なんだか偉くなったような、そんな気がしてた。
あのビルの先には何があるんだろう。
あの街には、どんなワクワクがあるんだろう。
ロマンが広がって、、たまらなかった。
そして、それに共感してくれる仲間が、嬉しかった。
楽しかったんだ。
現代。
名古屋旅行.2日目。
名古屋駅から出ると、やはり広島とはレベルの違う、高層ビルが並んでいて。
俺は「うわぁー!やっぱ、都会すげぇーなー!!」
と興奮して、叫んだ。
俺、、だけ。
「‥‥あ、あれ??」
オイスは、俺が驚いたビルをチラッと見上げ、何も言わずスタスタ歩いていた。
あ。
この人、今、
大阪に住んでるん、だった‥‥
俺の頭の中に「木綿のハンカチーフ」が流れた。
か、、、
変わって、しまった、、、、
オイスは、唖然とする俺に気付いたのか、
振り返り、俺にボソッと呟いた。
「広島が、、ちょうどいいですよ。」
恋人よ
今も素顔で口紅もつけないままか
見間違う様なスーツ着た僕の写真
写真を見てくれ
いいえ
草に
ねころぶ
あなたが好きだったの
でも
木枯らしのビル街
体に、気をつけてね
体に、気をつけてね。
終劇